「雨」

夜　雨降るマンションのベランダの隅で
あたしは一人立ち尽くす
白いイヤーフォンから　零れる音楽
容赦なく打ちつける雨
何をするでもなく　あたしは雨に打たれ続けた

でも　それでよかった･･･
張り詰めた心が和らいでいくよ
いつも見慣れているはずのこの景色さえも
今は　美しく感じる

行き場の無いこの心が　何かを求めてる
それは優しい言葉でも　笑顔でもなかった
ただ　振ってくるその雨に　心洗われる気がして
ずっとここで立ち尽くしている
あたしの頬を涙がつたう


まだ　雨風強いこのベランダの影に
隠れるように身を伏せた
雨はあたしの体を濡らして　風は体温を奪っていく

でも　それでよかった･･･
溜まった涙が零れ落ちた
霞んだ景色が　あたしに幻を見せる
この黒い空に

強がっていたこの心が　何かを求めてる
それは暖かい愛でも　腕でもなかった
ただ　何も言わずに受け入れてほしかった
ずっと閉じ込めていた想いが　夜空へ飛んでゆく


不満と不安だらけの心
ただ　何も言わずに受け入れてほしい
でも　少しだけ叱って･･･

雨はいつか降り止む　嵐はいつか過ぎ去る
それと同じように　心の雨も嵐も
いつか消えてゆく
闇の向こうに光が差すように･･･
だから　今思いっきり苦しめばいい
そうして新しい幸せを見つければいい


≪コメント≫
本当に心に余裕が無くて、毎日が苦痛だった時がありました。
そんな時に雨に濡れて気持ち悪いはずなのに、なんかスッキリしてた。
雨の中で泣いてたらバレないし、雨は何も言わないからいっぱい泣ける。
多分、本当に苦しい時って慰めの言葉とかじゃなくて、
何も言わないで話を聴いてくれる人が必要なんだと思います。

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